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アルミニウム合金の調質・質別記号とは

アルミニウム合金の調質・質別記号とは

アルミ合金は非熱処理型合金と熱処理型合金に大別されます。前者は熱処理で硬化し、後者は熱処理で硬化しません。さらにアルミ合金はこの両者に金属加工による調質を行うことができます。

他の金属と同様に、アルミ合金はどのような冷間加工と熱処理を経たかによって物理的性質に大きな差が生まれます。それを識別するために、材料名の末尾についている記号が調質・質別記号です。例えば「A7075-T6」では、T6が質別記号にあたります。

調質の内容には、焼きなまし、加工硬化、溶体化処理、時効処理などがあります。これらの内1つ、あるいは組み合わせた処理が行われます。質別記号の種類と処理内容は、JIS H 0001によって規定されています。

調質・質別記号の種類と意味

調質・質別記号には基本的な記号としてF・O(オー)・H・W・Tの5種あります。「F」は素材が製造されたままの状態を指します。加工硬化や熱処理について調整をしていないことを意味します。

焼きなましの「O」

「O」は焼きなまししたものを指します。展伸材か鋳物で意味が変わります。展伸材の場合は、最も軟らかい状態を得るように調整しています。鋳物の場合は、伸びの増加や寸法安定化の調整を意味しています。

質別記号意味
O1高温焼きなまし後に徐冷。超音波応答性、寸法安定性を与えた展伸材です。
O2超塑性加工をして溶体化処理した特殊な加工熱処理を受けた展伸材です。
O3高温で均熱処理することで偏析を減少・取り除いた状態です。

加工硬化の「H」

「H」は加工硬化したものを指します。加工硬化によって硬度を高める調整をしたことを意味しています。

Hの細分記号は、Hの後に2つ以上の数字がついています。Hの後の最初の数字(1~4)は下記の表の処理を意味します。その後に続く数字は、引張強さを表します。1~9まで段階があり、8は通常の加工で得られる最大引張強さのものを指します。

質別記号意味
H1加工硬化により強度を高めた状態です。
H2加工硬化後に軟化熱処理をした状態です。H1と同等の強さで伸びが向上しています。
H3加工硬化後に低温加熱で安定化処理した状態です。強さが低下し、伸びが向上しています。
H4加工硬化後に塗装し、塗装の加熱により部分的に焼きなましされた状態です。

その他の安定状態の「T」

「T」は熱処理によってF・O・H以外の安定な状態にしたものを指します。Tの後に続く数字は以下の表の基本的な処理を意味します。その後に続く数字は特定の処理方法や機械的性質を表しています。

質別記号意味
T1高温加工から冷却後に十分に安定するまで自然時効した状態です。
T2高温加工から冷却後に強さを増すため冷間加工を行い、その後自然時効した状態です。
T3溶体化処理の後に、強さを増加させるため冷間加工を行い、自然時効した状態です。
T4溶体化処理の後に、冷間加工を行わずに自然時効させた状態です。
T5高温加工から冷却後に冷間加工を行わず、人工時効硬化処理をした状態です。
T6溶体化処理の後に、冷間加工を行わず、人工時効硬化処理をした状態です。
T7溶体化処理の後に、最大強さを得る人工時効硬化処理条件を超えた過時効処理をした状態です。
T8溶体化処理の後、強さを増加させるため冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理した状態です。
T9溶体化処理の後、人工時効硬化処理をして、さらに冷間加工した状態です。
T10高温加工から冷却後に冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理をした状態です。

TXの細分記号

Tの直後の数字(Xとする)に続く数字は、特定の処理方法・機械的性質を意味します。

質別記号形状意味
TX51厚板1.5%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。
薄板0.5%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。
鋳造品1%以上、5%以下の永久ひずみを与えた状態です。
TX510押出棒1%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。
引抜管0.5%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。
TX511押出棒1%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。
引抜管0.5%以上、3%以下の永久ひずみを与えた状態です。

溶体化処理後不安定な状態の「W」

「W」は溶体化処理をしたものを指します。溶体化処理後に常温で自然時効した不安定な状態です。

質別記号意味
W51TX51と同等の永久ひずみを与えた状態です。
W510TX510と同等の永久ひずみを与えた状態です。
W511TX511と同等の永久ひずみを与えた状態です。

参考:日本産業規格JISH 0001 : 1998

Point

アルミニウム合金の調質・質別記号は熱処理の有無と冷間加工の種類による組み合わせで分類されます。調質の内容は主に、焼きなまし、加工硬化、溶体化処理、時効処理です。これらの内1つ、あるいは組み合わせた処理が行われます。

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